くまモンがジャカルタに! インドネシア市場を目指す一次産業

和牛のインドネシア上陸

1月20日、ジャカルタの最高級ホテル『インターコンチネンタル・ジャカルタミッドプラザ』にて熊本牛試食レセプションが開催されました。

このイベントには蒲島郁夫熊本県知事を始め、県下の精肉取引業者やインドネシアの小売業、飲食業関係者などが参加。熊本県が満を持してインドネシアに輸出した牛肉を、現地の人に味わってもらおうという取り組みです。

「このレセプションはゴールではなくスタート、我々のインドネシアビジネスの第一歩です」


そう力説するのは、熊本県錦町の企画観光課長を勤める藤芳純さん。この日のために費やした時間は、あくまでもこれからの市場開拓の土台であるとのこと。


「日本の農作物は現地のスーパーマーケットに並べたら、飛び抜けて高価なものになってしまうという不安点もあります。ですがそれを付加価値としてアピールできれば、熊本県産のブランドイメージを現地の方々に認識していただくことも可能だと感じています」

その一方で藤芳さんは、「それでもできるだけ価格を抑えられたら」とも語ります。確かに日本の農作物は値段の面で言えば他の産地のそれよりも高く、日本とは所得水準の違うインドネシアの市民が手を出してくれるものなのかという心配もあります。

しかし、それこそが強みだと断言する生産関係者もいます。

さらなる進出計画

「我が社では大量生産ではなく、品質を念頭に置いています」


熊本県の畜産会社『天草権現ファーム』CEO影山和久さんは、我々の取材に対しiPadで動画を紹介しながら熱く語ります。


「我が社は今、牛肉の他にも鶏肉輸出のための調査をしている最中です。もちろんインドネシア政府はまだ日本産鶏肉は認めていませんが、天草大王の生産施設は世界各地域のハラル認証を取得しています。

インドネシアの鶏肉は小さいんですよ。ブロイラー管理で、50日もすれば出荷ですからね。そういう大量生産の肉ではなく、より時間とコストをかけた製品をインドネシアの皆様にお届けしたいと考えています」


天草の食肉関連企業は、イスラム市場開拓に力を入れています。今回のレセプションでは和牛だけではなく、「伝説の巨大鶏」と言われる天草大王のPRも兼ねているとのこと。

実はこの天草大王、今の時点ですでにインドネシアと大きなつながりがあります。


「ほら、この動画に写っている従業員の彼、インドネシア人なんです。イスラム教徒のお客様に安心して召し上がっていただける製品を作るには、彼らの力が欠かせません。

ハラル製品ですから、屠殺はインドネシア人従業員が担当しているのですが、彼ら働きぶりはもう真面目そのものですよ。本当にしっかりしています。天草という土地が彼らにとって働きやすい環境というのもあると思います。

天草は神道と仏教とキリスト教が協力し合いながら歴史を作ってきた土地です。江戸時代、キリスト教が禁止された頃も仏教のお寺が隠れキリシタンを匿ったり、こっそりミサを行わせたという事実もあります。天草は世界に先駆けた宗教対話の町なんです。もちろんそれは、イスラム教徒に対してもそう。彼らを貶したり排除したりなどということは絶対にありません」

フランスで発生したイスラム過激派による乱射事件以降、世界各国では偏見に基づいた反イスラムの動きが強まっています。ハラル製品販売反対運動ということも起こっているほど。その中でイスラム教徒に広く門を開いている熊本県下の企業の取り組みは、特質に値します。

ビジネスと国際交流

「我々は多方面からインドネシア市場に切り込んでいきます」


そう話すのは、熊本県国際課長の磯田淳さん。このレセプション会場の片隅には熊本焼酎のコーナーも設置され、イスラム教徒でない参加者にお酒が振る舞われました。

インドネシアはアルコール度数の高いお酒は総じて値段が高く、非イスラム教徒であっても庶民がなかなか買えるものではありません。ですがそれは牛肉と同じく、付加価値の高さで他商品と競合できるというのが熊本県の目論見です。

そもそも熊本県は特産品や観光資源が多く、このレセプションは「牛肉試食会」と銘打ってはいるものの実際は「熊本PRイベント」のようになっていました。そのような場ですから、ここジャカルタにもお馴染みの彼がやって来ました。

そう、くまモンです。

筆者はまさかジャカルタでくまモン体操を見られるとは思ってもいなかったので、つい大感激してしまいました。でも相変わらずメタボなのね、くまモン。

それに続き、ジャカルタの若者たちの日本語劇団『en塾』によるパフォーマンス。何と、今年も熊本での公演が決定したそうです!

 熊本県とインドネシアの深いつながりを実感した今回のレセプション、「一次産業から見たインドネシア進出」というテーマを取材していたはずの筆者ですが、日尼交流に情熱を捧げる人たちの姿を見て感動のあまり涙を流してしまいました。

筆者にとっては、真の国際交流の在り方を再確認した1日でもありました。


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