徹底調査!どんな和菓子がジャカルタでウケるの?試食会レポート

インドネシアで日本の食べ物がブームになる、という現象がここ最近多発しています。

ラーメン、たこ焼き、抹茶菓子など、日本ではポピュラーになりすぎてむしろ見落としがちな料理がインドネシアでは注目されています。しかもそれらは「ここまで人気になるとは思わなかった」というような結果になっていることが多く、やはり何が流行るかは事前に予想しづらいようです。

そこで今回はインドネシア進出シェアハウス『Base Campジャカルタ』にて、和菓子の試食会を行いました。シェアハウスの住人や現地の若者、通訳スタッフを招待して催されたこの企画。ジャカルタにはない6種類の和菓子を口にした彼らの反応は……。

1 丸粒栗の栗蒸し羊羹(若山商店)

さて、トップバッターは日本伝統の和菓子栗羊羹。よく入院した上司の見舞いに持っていくようなやつです。まずはこれを食べてもらいましょう。


「ああ、この味ね。月餅がこんな感じだ」

「こういう味は、ジャカルタにもあるよ。珍しくない」


何と、初っ端から意外な答えが出てきました。華人の間では定番のお菓子月餅に、味わいがそっくりとのこと。

通訳をしてくれたこの方は、羊羹が一番好き!とのこと。甘〜く煮付けてある栗がポイントが高いそうです。

一方で「ぼくはあまり好きじゃないな~。なんか昔おばあちゃんちで食べたお菓子に似てて」という感想。若年層にはウケが悪かったようです。


ただ考えてみれば、栗は東アジアでは昔からお菓子の材料として使用されてきました。そして華人の多いジャカルタでは、すでにポピュラーな甘味として存在します。加工の仕方はどうあれ、特に大したインパクトは感じなかったようです。

2 生八ッ橋 栗あん(井筒八ッ橋本舗)

次は日本人の間でも大人気の京都名産・生八ッ橋。先ほどの羊羹と同じく栗を使用していますが……。


「これ、すごく甘い!」

「さっきの羊羹よりも美味しい!」


という絶賛の声が。その食べやすさも相成ったようで、なかなかの高評価です。

ところが、


「これ、あまり好きじゃない。羊羹の方がいいかも」


絶賛の中で、いきなり飛び出た酷評。どうやらあんこやお餅ではなく、シナモンが苦手だった様子。

3 厚焼きねぎ味噌せんべい(成城石井)

次はせんべいです。甘味ではありませんが、日本では庶民的なお菓子の代表選手になっています。

「……うん、美味しい」

「普通だね」

「いいんじゃない? 悪くないよ」


皆さん、どうもいまいち捻りのないコメントばかりです。それじゃ記事にならないよ。


「味がしっかりしてるよね」


というコメントをどうにかもらったところで、次のお菓子へ。

ところがこの言葉が、あとで重要なキーワードになるのでした。

4 ゴーフル(上野風月堂)

「ねえ、これって日本のお菓子の試食会でしょ? 何でフランス語の名前のお菓子があるの?」


食べる前に、まるでカウンターパンチのような言葉が飛び出ました。そ、そんなこと言われても……。

ですが確かに、日本はフランスの植民地だったわけでもないのにフランス語名の「伝統菓子」が多い気がします。なぜでしょう? かつて『ベルサイユのばら』が大ブレイクしたのも、「フランス語=お洒落」というイメージを持っているのも、ナポレオン戦争期の元帥について熱く語る日本人がこの試食会に紛れ込んでいるのも、結局は日本独特の感性かもしれません。

それはともかく、まずは試食。すると……。

「中途半端な味!」

「てか、味がしないよね?砂糖の味だけな気がする。」

 

上野風月堂さん、ごめんなさい。クレームを言ってるわけじゃありません。これが現地の人の感想なのです。

つまりインドネシア人は味がしっかりしているものを好む傾向があって、その舌に言わせれば「上品で控えめな味=中途半端」ということになってしまうのかもしれません。

5 日本橋くず餅(日本橋屋長兵衛)

「これって餅なの?」


そう、これは餅だよ……と返しても、彼らは頭上にクエスチョンマークを浮かべたまま。無理もないかもしれません。クズという植物は世界中に分布していますが、それを食用にする習慣はインドネシアでは見かけません。もしかしたらクズを食べている例もあるのかもしれませんが、一般的でないことは確かです。

果たしてこれが受け入れられるのかと、やや不安に思っていると……。


「これは美味い!」

「インドネシアの餅とは全然違うけど、確かに美味しい! このきな粉がまた新鮮でいい」

上々の評判です。どうやら黒蜜の甘さがインドネシアのお菓子にもよく使われるようで、しっかりとした甘みもポイントの様子。また、きな粉も美味しい!という女性の評価で、インドネシア人の舌に受け入れられるようです。「このお菓子が一番!」という参加者が多数。

ちなみにクズは世界の侵略的外来種ワースト100に入っている植物で、これが食用になるということを知らずに「ただの雑草」としている地域もあります。そういう背景を鑑みれば、このお菓子は世界の農業の救世主になるのかもしれません。

6 子とら(浅草梅園)

最後は『ドラえもん』の影響ですっかり有名になったどら焼きです。そのためか、最初に目にした時の反応がとても良く、「おれ、インドネシアの似せたやつは食べたことあるけど、日本の本物のどら焼きは初めて!」との声も。中にはスマホですかさず撮影する人もいました。

この『子とら』はネコ型ロボットが燃料にしているどら焼きよりも幾分か小ぶりですが、人間の口にはちょうどいいサイズ。さっそく食べてみましょう。

 「思ったより甘くないね」

「うん、まあまあ美味しいと思う」


……あれ? 予想よりも薄い反応です。「とても美味しい」と言ってくれた参加者もいましたが、先ほどのくず餅よりも盛り上がりに欠ける気がします。

どうやらもっとスウィーティーな味をイメージしていたらしく、実際にはより控え目な甘さだったというのが正直な感想のようです。

あのネコ型ロボットが、これ見よがしに美味しそうに食べてるのがいけなかったのか……。

やってみないと分からない

今回の調査は、事前にアンケート用紙を配布して実行しました。

もちろん個人差は少なからずあるものの、総じて言えるのが「味の強いものが好まれる」傾向があるということ。せんべいとくず餅は全体的に高評価を得る一方、ゴーフルに対してはやはり厳しい意見がありました。

そしてやはりインドネシア人は日本人よりも意見をはっきり言う人たちで、口に合わなかったものは正直に「Kirai!(原語ママ)」と書いています。

何はともあれこの試食会で、インドネシア人の味覚について様々なデータを得ることができました。皆様、ご協力ありがとうございます。


Base Camp ジャカルタ』では主要ニュースメディアがなかなか取り上げないような、地元の人々の生活に密着した調査を行うことができます。政治動向や株式指標などでその国を観察すると、どうしても見落としてしまう重要点が出てきます。それは実は、インドネシアビジネスにとって一番大事なポイントだったりします。

この試食会も、やってみて初めて「ゴーフルは味が薄い」「くず餅は新鮮」ということが分かりました。すなわち、「やってみないと分からない」のです。

「ローカルと直接触れ合う」ということの意味を、改めて考えさせられた今回の調査でした。


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