【大きく変わるジャカルタの空港・前編】大拡張を見据える首都国際空港

インドネシアの首都ジャカルタの「玄関口」といえば、スカルノ・ハッタ国際空港である。

この空港の所在地はジャカルタではなく西隣のバンテン州タンゲランで、スカルノ・ハッタ空港からジャカルタ中心部まで行くには、それ相応の時間を要する。

車で渋滞がなければ30~40分程度で日系企業の集積するスディルマンまで行けるが、渋滞すると2時間以上かかることもある。去年末に開通したジャカルタ中心部まで直行する電車で45分かかり、現時点では約30分置きに運行されている。

新ターミナル建設も同時進行

インドネシア政府は現在、ジャカルタでの新空港の建設計画をまとめているという。

これは総工費100億ドル(約1兆1200億円)以上の資金を投じる国家的プロジェクトだ。ジャカルタ北部の海域に埋立地を作り、そこに空港をつくるという計画である。

タンゲランにある既存のスカルノ・ハッタ国際空港との併用を念頭に置かれているようだ。今年6月、ジョコ・ウィドド大統領はスカルノ・ハッタ国際空港の増設工事を2020年に行うと明言した。4番目のターミナルをここに作る計画だ。

つまり、既存空港のキャパシティーを強化しつつ、よりジャカルタ中心地に近いロケーションに新空港を作るということになる。

周辺インフラの構築は必須

新空港に関してはまだ着工に至っていないが、この影響はジャカルタの交通網も変えていくことになるだろう。

海上の人工島に設けられた国際空港と言えば、日本では関西国際空港がある。この空港と本土を結ぶのは1本の橋で、6車線の道路と複線の線路が敷かれている。新空港にもこのような橋が設けられるとしたら、それだけでも大規模なインフラ工事になる。

インドネシア国内の企業のみで対応するというよりは、恐らく外国企業からの出資も募ることになるはずだ。焦点になるのは鉄道だろう。世界的に見て、鉄道設備の全てを独力で生産できる国は限られている。日本はその数少ない国のひとつなのだ。

計画が本格始動すれば、鉄道建設を日本の企業が請け負うという可能性も十分にある。

現在、ジャカルタ中心部に工事中の地下鉄は清水建設が参画しており、また多くの建設中の高層ビルにも日系企業が参画している。交通インフラや建築に関して、日系企業の出資やプロジェクト参画はジャカルタでは多いと言ってよい。

ASEANの「ハブ空港競争」

ASEAN諸国では、「ハブ空港競争」が激しくなってきている。

シンガポールのチャンギ国際空港、タイのスワンナプーム国際空港、これらの拠点は今や世界有数の空港に成長した。近年はLCC(格安航空会社)の台頭も各空港の拡張を後押ししている。マレーシアのクアラルンプール国際空港のように、レガシーキャリアとLCCを別施設に分ける空港もある。

外国人利用客が増えている点もさることながら、LCCが台頭する中で中間層の厚みが増しているという点も大きい。

10年ほど前までは長期休暇に里帰りをするとしたら長距離バスが主流だったし、島と島の間の移動はフェリーを使うが、これではより長い移動時間を必要としていた。

インドネシアの人口は約2.6億人で中間層は増え続けており、外資企業のインドネシア参入も増加している。そして、バリやボロブドゥールを始めとするインドネシアの観光地には国内外の観光客が増え続けていくと見られる。こうした中での空港利用者の増加に伴い、ジャカルタの新空港の計画は進んでいくとみられる。

チャンギ国際空港やスワンナプーム国際空港と比較してどのような特徴ある新空港を作り上げていくのか大きな注目の集まるところだ。

【参考】
Bandara Soekarno-Hatta : Airport For Everyone-YouTube