岐路に立つインドネシアのタバコ産業と、タバコ会社大手ジャルムのCermatiへの出資

9月、金融商品のプラットフォーム『Cermati』がシリーズBで資金調達した。出資企業の筆頭はジャルムグループである。

ジャルムグループといえば、インドネシアを代表するタバコ製造企業だ。経営者であるハルトノ兄弟は、同国の長者番付の常連としても知られている。兄のマイケル・バンバン・ハルトノ氏は、今年のインドネシアでのアジア大会のブリッジ競技で銅メダルを獲得した。

インドネシアは、成人の喫煙率が高い国と言われている。数年前までは国内のスポーツ大会にジャルムが広告を出していた。先進諸国からは「マルボロマンが現役の国」と言われていたほどだ。

しかし、インドネシアでもタバコの広告が規制され、ジャルムグループは転機を迎えている。

金融商品専門のプラットフォーム

Cermatiは金融商品の売買契約を仲介する業務を展開している。サイトの上部には「クレジットカード」、「融資」、「保険」と3つの項目があるが、まずはクレジットカードを見てみよう。BRI、BNI、Mega、Danamon、BCA等の国内銀行や、インドネシアに進出している外資金融機関まで、主要各社の提供するクレジットカードの画像が並んでいる。

この中から、顧客は自分に適したカードを選ぶ。特典や年会費等も一目で確認できる。

「融資」の項目の中を見てみると、そこには新車や中古車、バイク、一軒家の購入ローンも用意されている。新車ローンの場合は具体的な車種が見やすい形で並んでいる。総額、頭金、月々の支払額もそれぞれ比較できるよう記載されているのが特徴だ。

大手保険会社の商品も

Cermatiは保険商品も提供している。

そのラインナップはアクサ、Adira、シナルマスなど、インドネシア国内でよく知られた名が連なる。こちらもクレジットカードと同じく、各社に代わってCermatiが契約仲介を行うという仕組みだ。

今回の資金調達で、Cermatiが取り扱う商品の幅が拡大する可能性も考えられる。

またジャルムグループは、Cermatiのような金融部門のスタートアップに投資をすることにより、従来のドル箱産業からの多角化を図っているようにも思える。ハルトノ兄弟は世界的な大富豪でもあるが、その主幹産業であるタバコ販売は転換への選択肢を迫られているようだ。

転換点に立つタバコメーカー

現大統領のジョコ・ウィドド氏は嫌煙家としても知られている。ジョコ氏がジャカルタ州知事だった頃、市内で行われるスポーツイベント等でタバコの広告規制が行われるようになった。

ジャルムは、格闘技やエクストリームスポーツにもメインスポンサーとして出資をしていた。その会場ではキャンペーンガールがタバコを販売するのがお馴染みの光景だったが、広告規制以後は急激に変化した。タバコの銘柄でもある「Djarum」という名を出せなくなったのだ。

2013年頃から現在までタバコ販売事業に対する締め付けが厳しくなり、タバコメーカーが新事業を手がけるスタートアップへ出資をすることは、時代の流れとも言えるだろう。

日本ではJTはが海外の同種企業を買収して成長させることで、日本での需要減少の中でも成長を遂げてきた。ジャルムの場合は、90年代のアジア通貨危機以後、ホテル・不動産、エレクトロニクス、銀行、パーム農園等で多角化をしてきた。現在のタバコの需要減少に対しては、国内の金融関連会社への投資・出資を今後の成長の1つの打ち手としているようにみえる。今年8月には、インドネシア国内のATMネットワーク企業『Alto』の株を買収している。また、インドネシアの大手銀行BCAの株式もジャルムグループは保有している。

【参考】
Cermati
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