インドネシア最大手通信企業の電子ウォレット、4月からQRコード決済開始か

インドネシアの大手通信企業TELKOMSELが運営する電子ウォレットアプリ『T-Cash』というものがある。

このサービスが、QRコード認証の決済に対応する。インドネシア中央銀行から、QRコード決済事業の許可が下りたのだ。

2017年末の時点で国内に1500万人の利用者を抱えているこのアプリは、インドネシアのフィンテック市場に大きな潮流を生み出すだろう。

インドネシア全体で見ると、銀行口座保有率は全国民の50パーセント程度であり、デビットカードやクレジットカードの普及率も高いとは言えない。このため、フィンテックによる金融サービスの利便性向上には期待が大きい。

4月からプラットフォームをローンチ

スマートフォンの流通には国内部品調達率を満たす必要があるが、フィンテック事業も当局に無断で行うわけにはいかない。

インドネシアでは今年に入り、仮想通貨による決済が事実上禁止された。それと同様に、QRコードを介した決済サービスも中央銀行の裁定を待たなければならない。

2月12日、T-Cashが展開しようとしているQRコード決済事業に中央銀行からの決定が下された。これを受け、同社は4月からプラットフォームのローンチに踏み出すという。

現状、T-CashではNFC通信を使った電子決済が行われている。だが、NFC搭載のスマホはミドルエンドからハイエンドの機種だ。200万ルピア以下で販売されているローエンドモデルには、NFCは搭載されていない。

また、販売者側にとっても「NFC対応端末を用意しなければならない」という手間がある。それに比べたら、QRコード決済は誰にとっても利便性が高い。

なお、独自の電子マネーサービスを展開するGo-Jekも、同様のサービスを展開する意図で中央銀行の判断を待っている。これに対しては、まだ許可が下りていない。

零細事業者が得る「利便性」

中央銀行の此度の判断はインドネシアのフィンテック情勢を大きく飛躍させるものになるはずだ。

買い手にとってもQRコード決済は便利なものだが、それ以上に売り手への効果が見込める。ここで言う「売り手」とは、ワルン経営者やパサールへの出店者、屋台の所有者を指す。要は中小零細の個人事業主だ。

電子決済が普及すれば、まず小銭を用意する必要がない。それだけでも労力の大幅な削減が見込め、経営が効率化する。また、大金を店に置くのも危険だ。それを狙った犯罪が発生するかもしれない。

現金がなくなれば、同時にそれらの不安要素もなくなるのだ。

中国ではQRコード決済がすでに「当たり前」となっている。屋台などでも客は現金を払わず、スマホのカメラをQRコードに向ける。NFCの搭載されていないローエンドモデル機でも簡単に電子決済ができるのだ。

キャッシュレス化への道

インドネシア政府の姿勢は、明確と言えるだろう。

乱高下の激しい仮想通貨には厳しい規制を課す一方で、国内の「キャッシュレス化」には前向きである。全国規模の電子決済普及がすぐに実現するというわけではないが、その目標に向けた道は着実に整備されているようだ。

QRコード決済の普及が一段落したら、次に課題となるのは顧客間の送金サービスだろう。これに関しては、QRコード決済よりもハードルが高いのは確かだ。マネーロンダリングやテロ資金供給に、送金サービスが利用される可能性もある。

また、電子ウォレットをハッキングから守る手段の確立や、もし運営会社が倒産した場合のペイオフ制度など、今後取りかかるべき議題は多いが、こうした整備が行われることでインドネシアのキャッシュレス化は大きく前進するだろう。

【参考・動画】
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