ジャカルタの治安状況に影を落とす、モナスでの「宗教行事解禁」

ジャカルタの象徴である独立記念塔(モナス)で、大きな動きが発生した。

それは当地で、宗教団体による集会が行われるようになったことだ。

モナスでの宗教関連集会は、それまで禁止されていた。しかしジャカルタ知事に就任したアニス・バスウェダン氏が、「州知事の許可が必要」という条件を提示しながらもモナスでの宗教行事を解禁したのだ。

それを受けてまず動き出したのは、イスラム系団体だった。今月17日、モナスでアメリカのトランプ大統領を非難するデモが発生した。

宗教間の「ねじれ」

アニス氏の決断は、懸念されているジャカルタの治安状況に影を落としてしまったとも言える。

トランプ大統領の「イスラエルの首都をテルアビブからエルサレムに」という表明は、世界中で騒動を巻き起こしている。それは同時に、新たなテロリズムの懸念を増幅させるものでもある。インドネシアでも、米大使館を中心により厳重な警備が敷かれるようになった。

そんな中、アニス氏はキリスト教団体に対して「クリスマス集会をモナスで行ったらどうか」と打診した。

これはインドネシアの国是である「多様性の中の統一」を維持するためのものだ。この国はイスラム教徒が大多数とはいえ、特定の宗教を優遇することはできないという事情もある。だからキリスト教団体に対してもモナスの使用を促したわけだが、当のキリスト教団体はこれを拒否した。

この瞬間、各宗教との狭間に存在する「ねじれ」が浮き彫りになってしまったのだ。

クリスマスの「危険性」

2017年のクリスマスは、こうした状況下で迎えることになる。

心配なのは、万が一の際のテロの可能性である。テロリズムは「政治的メッセージの発揮」でもあるから、何かしらの記念日に実行されることが多い。インドネシアに限らず、クリスマスは「絶好のテロ実行日」なのだ。

もちろん、当局はモナスを含めた各所への警備を強化している。だがそれは、数年前よりもテロ発生の危険度が上がったということでもある。

デモ集会も、テロと同じように警戒するべきだ。宗教関連のデモは暴徒化しやすいと言われているが、参加者が最初から火炎瓶などを用意している場合もある。

常に情報を

思い返してみれば去年11月、当時のジャカルタ州知事だったバスキ・プルナマ氏に対する抗議デモが発生したが、その際も一部が暴徒化し警察と衝突した。

危険を回避するための唯一にして最大の手段が、情報を手に入れることだ。現地メディアの情報はもとより、日本大使館や外務省からのスポット情報も常に仕入れておきたい。

【参考・動画】
Aksi Solidaritas untuk Palestina di Silang Monas - Liputan6 Siang-YouTube