モバイル商業施設「ITC Roxy Mas」とインドネシアスマホ市場

ITC Roxy Mas(以下Roxy Mas)という商業施設は、モバイル機器に特化したショッピングモールである。スマートフォンやその他モバイル機器が、1階から最上階まで大量に販売されている。

今回、このRoxy Masに足を運び様々な事柄を調査した。その一部をご紹介したい。

BlackBerryからOppoへ

インドネシアのショッピングモールは吹き抜け構造のものが非常に多いが、Roxy Masも例外ではない。

そこへ数え切れないほどのモバイル製品ブースが乱立している。その光景は圧巻の一言だ。

だが立ち並ぶ企業名は、サムスンやASUSなどを除いては日本人にとって馴染みの薄いものが多い。

筆者がここを取材した2017年10月26日の時点で、最も多くのフロア内広告を出していたのは中国Oppo。この企業のイメージカラーは緑だ。自ずとRoxy Masの構内も緑に染まる。

ここで、とあるWeb記事を紹介させていただこう。週刊アスキーが2012年2月に配信したものであるが、やはりRoxy Masを取材した内容だ。

http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/076/76044/

この中で筆者の山根康宏氏は、

「とにかくBlackBerryの看板ばっかり」

と書いているが、筆者が取材した時にはBlackBerryの看板はまるで見かけなかった。山根氏は上の記事の執筆後、1年以上の間を空けて再びRoxy Masを訪れているが、その頃にはBlackBerryの看板は減っていたそうだ。

つまり、5年の間にBlackBerryはインドネシアの携帯電話市場でのシェアを失ったのだ。

1万円で買えるスマホ

Roxy Masにある製品は、どちらかといえばミドルエンド以下の機種が中心である。

日本では女子高生も持っているiPhoneは、インドネシアでは高級機である。それにありつけない人のほうが圧倒的に多い。だからこそ、ローエンドからミドルエンドの機種を取り扱う中国企業がインドネシアで躍進しているのだ。

たとえば現地通信企業Smartfrenは自社ブランドの端末を発売しているが、製造メーカーは中国ハイアールである。

Smartfrenのスマホは、100万ルピア以下(1万円弱)の値段で買える手軽さで有名だ。それだけあれば、Smartfrenの4Gスマホが手に入るのだ。

そして、最も注目すべきはやはり中国ブランドの製品である。近年、中国企業の製品は目に見えて品質が向上し、もはや世界各国のスマホ市場で大きな影響力を持つようになった。OppoやXiaomiの最新機種は、誰もが目を引くデザイン性をも有している。少し前の低価格機種はデザイン面でも手を抜いている部分が目立ったが、クオリティーの進化は日進月歩といったところか。

流動的なスマホ市場

だがそれと同時に、スマホ市場ではたった一社が盤石の体勢を築くことは難しいという面も見える。

この世界は、新陳代謝が非常に早い。BlackBerryの広告がすでになくなってしまったように、今後Oppoがインドネシアで生き残れるか否かは誰にも分からない。

かつてはBlackBerryのコピー製品を作っていた企業が、今ではオリジナルデザインの機種を開発して堂々と市場に参入しているということすらある。1年後はこの企業がRoxy Masの構内広告を専有しているかもしれないのだ。

また同時に、スマホ市場の変化は現地市民の活気の証でもある。