新型iPhone、インドネシアの部品調達率規制を既にクリア

インドネシアにはTKDN規制というものがある。

TKDNとは部品の国内調達率を指し、スマートフォンなどの電子機器の場合、この数値がソフトウェア込みで30%を越えていなければ、国内正規店での販売ができないのだ。これは結局、インドネシアに製造業を呼び込むためである。

この規制のため、Appleが新型iPhoneをインドネシアで販売するためには省庁の許可が必要になる。

AppleがOSを他社に供給しない理由

スティーブ・ジョブズはAppleの創業者であるが、同時にAppleを解雇された経験を持つ人物だ。

そのジョブズがAppleに返り咲いた時、社員にこう質問した。「君の友人にAppleの製品を勧めるとしたら、どれにする?」。質問された社員は悩み出し、やがて仲間と議論を始めた。

この当時のAppleは、今よりも製品のバリエーションが多かった。MacintoshのOSも他社にライセンス供給されていたから、製品には多様性があった。しかしそれ故に「何を買えばいいのか分からない」という印象を消費者に与えてしまった。ジョブズも「多すぎる製品」を嫌い、OSの供給事業から撤退するよう指示を出した。

だからiOSはApple製品にしか与えられないのだが、それが今になって新興国で問題となっている。

OSの供給がない以上、その端末製造を手がける工場を誘致しづらい。その点、Androidは新興国にとって「渡りに船」のようなOSだ。実績のあるOSが手に入れば、端末の量産も容易だ。

だからこそ、インドネシア政府はAppleに対しても国内製造業への投資を呼びかけている。

TKDNはすでにクリア

では、先月発表されたiPhone8とiPhoneⅩはどうか?

これについては、産業省内の担当部署がすでに声明を出している。具体的な発売日は未定としながら、どの機種も30%以上のTKDNが確認されたとのことだ。

この国の法的許可はすでに与えられているという意味である。

現地テクノロジーメディアはこれを好意的に報道しているが、同時にインドネシアでのスマホ販売ビジネスは決して容易ではないという事実も物語っている。

先日配信した記事に登場したシャープR1の場合は、TKDNが31%。組み立てはバタム島で行われており、先行投資があってのことだ。この国のスマホ市場は「持ってきたら売れる」という単純なものではない。

気になる値段は?

インドネシアでのiPhoneⅩ販売価格は、1800万ルピアからになるという報道もある。

ジャカルタの最低法定賃金が月300万ルピアほどということを考慮すると、さすがに新型iPhoneは超高級機だ。その購入者は、必然的にアッパーミドルクラス以上になるだろう。参考までに、シャープR1の価格は179万9000ルピアと約10分の1である。

では多くのインドネシア人にまったく影響がない話かといえば、決してそうではない。もしAppleから巨額の投資があれば、それは間違いなく雇用や賃金の問題に直結する。

盤石の知名度を誇る製品を開発している企業故に、その影響力は隅々にまで及ぶのだ。