インドネシア政府がTelegramブロックを解除

先日お伝えしたインドネシアでのTelegramブロック騒動「ロシア発のメッセージアプリ「Telegram」とインドネシア政府との対立」について、大きな進展があった。

インドネシア情報通信省が、Telegramのブロックを解除したのだ。

Telegramは「絶対にユーザー情報を公開しない」という姿勢を前面に打ち出している。CEOは国際的メディアの取材に対して、胸を張るようにそう発言した。Telegramユーザーの会話は我々開発陣ですら知らない、と。

だからこそ、Telegramは各国政府と衝突している。インドネシアもそのうちの一国だった。

それが、短期間のうちに和解した。一体何があったのか?

「オンブズマン運動」を強化

「Trusted Flagger」という運動が盛んである。

これは、言い換えればSNS対象のオンブズマン運動だ。暴力、差別、コミュニティー間衝突を助長するような書き込みを、そのSNSの開発陣でない人々に見つけてもらう。それがTrusted Flaggerである。

Telegramとインドネシア政府は、このTrusted Flaggerプログラムの実行を施すことで今後のサービス提供を保証するという結論に達したのだ。

Telegramだけではない。それとまったく同じ頃合いにインドネシア政府はGoogle、Twitterとも合議を行い、やはり合意に至っている。今後はTelegram、YouTube、Twitterにインドネシア情報通信省の特別チャンネルを設け、そこから「正確な情報」を配信していくという。

「正確な情報」とは、テロリストやアジテーターが流す歪曲的なコンテンツに対抗するためのものだ。

アメリカ南北戦争とSNS

インドネシア政府は中東情勢も見ているが、同時にアメリカ情勢も見ている。

アメリカ合衆国という国は、2017年の現在も南北戦争(1861~1865)の後遺症が残っていると言える。この戦争では最終的にリンカーン大統領の合衆国(北部州)が勝利を収めたが、連合側(南部州)の人々にとっては敗戦が「屈辱の歴史」として記憶されている。1848年まで続いた米墨戦争で、メキシコの侵略を撃退した自分たちこそが本当の意味でのエスタブリッシュメントだ。南部州の保守派はそう考えているようだ。

一方で、彼らもSNSを使っている。アメリカは政治家ですら、敵に対するネガティブキャンペーンを実行する国だ。素人の書いた拙い文章でさえ市民の心のうちにある火花を大火へ変える。

それが最近になって表面化した。バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義のグループとそれに反対するデモ隊が衝突し、その中に車が突っ込むという事態になった。
きっかけは、南北戦争の南軍(連合側)司令官ロバート・エドワード・リー将軍の銅像撤去計画だった。150年前の記憶は、未だにアメリカ人の傷となって残っているのだ。

Trusted Flaggerの役割

インドネシア政府は、シャーロッツビルのような混乱を恐れている。

時系列で言えばインドネシア政府と大手IT企業との合意は、シャーロッツビルの事件よりも少し前である。だが、SNSが憎悪を拡大させるという一面に対して、シリコンバレーは決定打を見出すことができず、世界的な非難を浴びていたのだ。

だからこそ、Trusted Flaggerという取り組みが大いに注目されている。ネット社会の健全化を第一の目標にするNGO団体を介入させることにより、一般ユーザー目線からのネット監視が行われるのだ。

そのプロジェクトの巨大な試験場として、インドネシアに視線が集まっている。

【画像・動画】
Ini Upaya Telegram Atasi Pemblokiran - Pavel Durov ke Indonesia-YouTube