街角の露店から「国際的トレンド」を観察する

最近、ジャカルタの街角の露店で不思議なものを見かける。

それは風車というか手裏剣というか、中央を指でつまんでクルクルと回す玩具だ。日本では「ハンドスピナー」、国際的には「ハンドフィジェット」と呼ばれる製品である。種類は極めて豊富で、様々な形のものが売られている。

じつはこのハンドスピナーは、世界的に流行しているものだ。

ハンドスピナーとクラウドファンディング

ハンドスピナーは、そもそもは身体を動かすことができない重病患者のリハビリのために発明された。

それを一般普及させようという動きは以前からあったが、発案者の熱意を買う玩具メーカーは皆無に等しかった。何しろ、ハンドスピナーの機能は「ただ回るだけ」なのだ。そんなものが売れるわけない、と先入観を持たれていたらしい。

ところが、クラウドファンディングというサービスが状況を大きく変える。

とあるハンドスピナーが世界中のネットユーザーから巨額の投資を集めると、その後のクラウドファンディング界隈では続々と亜種が出展されるようになった。言い換えれば、「ハンドスピナー」というものがひとつのカテゴリーに昇格したのだ。

現代人が新たなビジネスチャンスを発見した瞬間でもある。

コピー品が大量に

一方で、問題もある。

ハンドスピナーというもの自体が、パテントで保護されているわけではない。先ほど「続々と亜種が出展されるようになった」と書いたが、亜種の範囲を超えた明らかなコピー品も大量に市場投入された。

クラウドファンディングで資金調達に成功した製品が出荷を開始する前に、そのコピー品がAmazonで売られているということもよくある。そうなると、安い人件費で製品を量産できる新興国の業者が結果的に巨利を得る。

これではあまりに理不尽ではないか……と考えてしまいがちだが、じつはそうとも言い切れない。クラウドファンディングで資金を集めたが、生産工場のトラブルで出荷が滞ってしまったという開発者も中には出てくる。その場合、緊急手段として自分たちの製品をコピーしていた業者を「正規の生産者」として指定してしまうのだ。

実際、そのような手で出資者からの返金要求を回避した例もある。

トレンドの波

そんなクラウドファンディング界隈の事情を、ジャカルタの露店は余さず映し出している。

ちょっと物珍しい程度の玩具が、これだけの事情を抱えている。じつを言うと筆者はテクノロジーメディアでハンドスピナーの記事を書いていたのだが、まさかその経験がここで生きるとは思わなかった。

何だかんだで、インドネシアは国際的トレンドの波を被りやすい国であることに違いない。