カプセルホテルが変えるジャカルタの「安宿事情」

かつて、ジャカルタ市内の安宿といえばジャクサ通りのホステルが有名だった。

ここは長年、世界中のバックパッカーを受け入れてきたエリアだ。筆者はもともとバックパッカーで、アジア各地の安宿街にはだいぶ世話になっている。もちろん、ジャクサ通りも例外ではない。

ジャクサ通りはあまり風紀のいいエリアとは言えなかったが、近年その姿が大きく変わりつつある。

変貌する安宿街

筆者は、「泊まる宿は1円でも値切りたい」と常に考える。

そんなニーズを叶えてくれていたのが、ジャクサ通りの安宿だった。一時期はジョグジャカルタのガン2というエリアに沈没していたこともあったのだが、ジャカルタに出る時は必ずジャクサ通りに拠点を置いた。

だが、そのジャクサ通りの安宿は「好立地の物件」でもある。インドネシアの経済成長とともに、市内のほぼ中央にあるジャクサ通りの再開発が要望されるようになった。

これは土地所有者にとっては、非常に好ましいことだ。自分の保有する資産価値が跳ね上がるのだから。治安当局者としても、外国人観光客目当ての売春婦がうろつく地域が変貌すれば御の字だろう。

日本発の宿泊形態が

ジャクサ通りの再開発をきっかけに「ジャカルタの安宿」は意外な進化を遂げている。

カプセルホテルが増えたということだ。

カプセルホテルというのは、日本人の発明である。終電を逃したサラリーマンを受け入れるための施設だったが、今では外国人観光客から大きな注目を浴びている。ドミトリールームとは違う「大部屋の中の個室」という形状が、外国人の目からはクールに映るのだ。

そしてこのカプセルホテルビジネスが、インドネシアにも波及している。

たとえば、ジャカルタコタ駅の近くにある『Teduh Hostel』は、市内最安値のカプセルホテル。Agodaで予約すると、1泊700円台といったところだ。

部屋はカーテン仕切りのカプセル。男女共用で、実際に女性も多く宿泊している。

無料Wi-Fiを備え、朝食は無料。日本のカプセルホテルと違うのは、Teduh Hostelは完全にバックパッカー向けという点だ。だから、施設内はユースホステルのような雰囲気を醸し出している。

カプセルホテルの「可能性」

近年、このようなカプセルホテルがジャカルタやスラバヤに続々と登場している。

もっとも、これはインドネシアだけの現象ではないはずだ。カプセルホテルビジネスは、世界中の経営者の関心を集めている。短期滞在のために必要なものがすべて揃っている上、治安も保たれている。「チープな宿は治安が悪い」というのが常識だったが、日本人が考案したカプセルホテルという宿泊施設がその常識を覆しつつある。